Microsoft Exce®について
Microsoft Excel®(マイクロソフト エクセル)は、Microsoft社が販売している表計算ソフトウェアである。
Microsoft Word®とともに、同社のオフィススイート、Microsoft Officeの中核をなすアプリケーションである。主に表計算やデータのグラフ化などを行うものである。関数の入力やマクロ機能、GUIの操作などに優れており、数値計算やグラフの作成だけでなく様々な用途に使用されている。このため、Officeパッケージの一部として提供されたり、単体製品として販売されたりするほか、家庭向けパッケージにも同梱されていることが多い。
知名度は極めて高く、表計算ソフトウェアとしては世界中でも最も広く利用されているもののひとつであるといえる。
Excel 2013プレビュー
トップへ戻る
歴史
Excelは当初はMac用の表計算ソフトとして開発されたものでMac上で人気を博してからWindows用のアプリケーションとしても提供され始めたという経緯をもっている。
Excelの前身である、Microsoft社のMS-DOS向け表計算ソフトMicrosoft Multiplan及びグラフ作成ソフト Microsoft Chart は、多彩な表現ができたものの、統合ソフトであるLotusの1-2-3に比べ操作が難しく、北米ではシェアを大きく開けられていた。
初期の段階でMS-DOS用アプリケーションだったが、1984年LotusがMac向け統合ソフト「Jazz」を開発していることが分かると、プラットフォームをMacに移して改めて開発が進められ、1985年9月にMac版が発売された。同製品は、GUI環境に特化した優れた操作性と高い性能を有しベストセラーとなった。
Mac版でGUI環境のアプリケーション開発ノウハウを蓄積したMicrosoftは、1987年10月、Microsoft Windows版を発売した。 その後、他のオフィス向けアプリケーションにもExcelに似たインタフェースを用いるようになり、Windowsのインタフェースは、Excelを基準に作られたとも言われている。
Microsoftは、Excelを核にワープロやデータベース、スケジュール管理ソフトなどを統合した高性能オフィススイート製品 Microsoft Office の販売を優先することで、Windows向けオフィススイートのデファクトスタンダードの座を確保することに成功した。そして、PCのプラットフォームがMS-DOSからWindowsへと移行するに従い、GUIへの対応が遅れた1-2-3 を引き離していった。
Microsoft Excelは1985年に、「Excel Ver. 1.0 for mac」として初めて発売された。
年号 | 名称(コードネーム ) | 対応OS | コメント |
---|---|---|---|
1985 | Ver. 1.0 for Mac | Mac | 最初のExcelとして販売 |
1986 | Ver. 1.04 for Mac | Mac | |
1987 | Ver. 1.0 for Win | Windows | 最初のWindows版として発売 |
Ver. 2.0 for Win | Windows | ||
1988 | Ver. 1.5 for Mac | Mac | |
1989 | Ver. 2.2 for Mac | Mac | |
1991 | Ver. 3.0 for Win | Windows | |
1993 | Ver. 4.0 for Win | Windows | |
1994 | Ver. 5.0 for Win | Windows | Microsoft Office 4.2&4.3に含まれる |
1995 | 95 (Ver. 7.0) for Wi | Windows | Microsoft Office 95に含まれる |
Ver. 5.0 for Mac | Mac | ||
1997 | 97 (Ver. 8.0) for Win | Win | Microsoft Office 97に含まれる |
1998 | 98(Ver. 7.0) for Mac | Mac | |
1999 | 2000(Ver. 9.0) for Win | Windows | Microsoft Office 2000に含まれる |
2000 | 2001(Ver. 8.0) for Mac | Mac | Microsoft Office 2001 for Macに含まれる OS 9以前との互換性が最後のバージョン |
2001 | 2002(Ver. 10.0) for Win | Windows | Microsoft Office XPに含まれる |
2002 | X(Ver. 10.0) for Mac | Mac | Microsoft Office v.Xに含まれる Mac OS Xにのみ対応 |
2003 | 2003(Ver. 11.0) for Win | Windows | XMLドキュメント形式に対応 Microsoft Office 2003に含まれる |
2004 | 2004(Ver. 11.0) for Mac | Mac | Microsoft Office 2004 for Macに含まれる |
2007 | 2007(Ver. 12.0) for Win | Windows | Microsoft Office 2007に含まれる |
2008 | 2008(Ver. 12.0) for Mac | Mac | Microsoft Office 2008 for Macに含まれる |
2010 | 2010 (Ver. 14.0)for Win | Windows | Microsoft Office 2010に含まれる |
2011(Ver. 14.0) for Mac | Mac | Microsoft Office 2011 for Macに含まれる | |
2013 | 2013 (Ver. 15.0)for Win | Windows | Microsoft Office 2013に含まれる |
トップへ戻る
機能
多用な機能
Microsoft ExcelはWordなどの他のOfficeソフトウェアよりも比較的軽快に動作することや、数多くのコンピュターにインストールされており、画像の挿入などのさまざまな機能があるため、比較的多くに人に利用されている。また、マクロ言語やMicrosoft Accessの代用簡易データーベースとしても利用できるため、初心者から熟練者まで幅広い層で使用されている。
互換性
基本的に上位互換で、新しいバージョンでは古いバージョンで作成したファイルを開くことができる。
但し、新しいバージョンで作成したファイルを古いバージョンで開いた場合、新しい機能を使って作成された部分は編集できないなどの制限があるほか、見た目も違う場合がある。同じ内部バージョンでも、OSが違うとフォーマットが崩れる場合がある。
(例:内部バージョンが同じ「Ver.12」の「2007 for Win」で作成したファイルを「2008 for Mac」で開いた場合など)
バージョン間の互換性の変更点(公式サイト)
関数
Excelは表計算ソフトであるため、本来は表を作成して合計などの計算や、これを基にしたグラフの作成などに用いられるものである。「平均を求める」「標準偏差を求める」「文字列中のn番目の文字を取り出す」などのよく使う計算や検索の作業は、数百種類ある「関数」と呼ばれる手続きにまとめられており、この関数を組み合わせることで相当高度な計算も可能である。
関数一覧 (機能別)
エクセル関数の読み方と語源
拡張子
Microsoft Excelは初期から長く拡張子「.xls」を拡張子を用いてきた。
しかし、Microsoft 2007(Ver. 12.0) for Winからは拡張子「.xlsx」を用いるようになった。
また、テキスト「.txt」やCSV「.csv」、HTML形式での入出力も可能で、Excel 2003以降はXMLスプレッドシートにも対応した。
2013年現在の最新版であるExcel2013のExcel ブックの拡張子の標準は「.xlsx」であるが従来のExcel2003までの「.xls」形式でも保存できる。一方、「.xlsx」形式で作成されたExcel ブックファイルを、旧バージョンのExcel 2003等で開くことはできないため、互換パックをMicrosoftのサイトからダウンロードする必要がある。
ワードアート
ワードアート(WordArt)はMicrosoft Excelに搭載されている文字変形ツール機能のことで、文字に様々なデザインの効果を加える機能のことである。ツールによって変形操作を加えられた文字列は、文字列ではなくオブジェクトとして扱われ、画像などのようにExcel ブックに貼り込まれるようになっている。
クリップアート
クリップアートはMicrosoft Excelに標準で搭載されているイラストの事である。
MicrosoftのHPや画像サイトから新たなクリップアートをダウンロードして利用する事も可能で、現在公式サイト上だけでも約12万点以上が存在する。
パスワード保護
パスワード保護機能とは重要書類など、他人が開いたり変更したりするのを防止する機能である。
「読み取りパスワード」と「書き込みパスワード」が存在する。
読み取りパスワード方式の場合、文章を開く際にパスワードが必要になり主に閲覧を禁止する場合に使用される。
書き込みパスワード方式の場合、文章を編集する際にパスワードが必要になり主に文章の改ざんを防止するのに使用される。
アドイン
アドインとは関数や機能を追加する拡張機能のことである。
アドインはxla形式(Excel 2003以前)またはxlam(Excel 2007以降)で保存することで作成できる。ただし、アドインはマクロが警告なしに実行されるため、後述のマクロウイルスにかかってしまう恐れがある。
トップへ戻る
類似ソフト
Excel Viewer(Microsoft)
Excel Viewer(エクセルビュワー)はMicrosoft社が無償で公開しているExcel ブック閲覧ソフト。Excel ブックは通常のテキストエディタでは閲覧ができないが、当ソフトウェアを使用することでExcel ブックを表示、印刷などが可能になる。
閲覧可能な拡張子- Excel ファイル (.xlsx、.xlsm、.xlsb、.xltx、.xltm、.xls、.xlt、.xlm、および .xlw)
- マクロ有効ファイル (.xlsm、.xltm、および .xlm)
現在の最新バージョンは1である。 公式サイト
Kingsoft Spreadsheet(キングソフト)
Kingsoft Spreadsheet(キングソフトスプレッドシート)は、キングソフトが販売する表計算ソフトである。
Microsoft Excelにそっくりなユーザインタフェース(リボンUIに対応)と操作性、Microsoft Excelとの高いファイル互換性を備えている。
現在の最新バージョンは 2012 (v.8.1.0) である。
公式サイト
トップへ戻る
三四郎(ジャストシステム)
三四郎(さんしろう)は、ジャストシステムが販売する表計算ソフトである。
異体字・漢文やふりがななど日本語特有の文字入力の緻密さ、日本固有の通貨表記やふりがな自動入力機能を搭載しているなどが特徴のソフトウェアである。
現在の最新バージョンは「三四郎2010」である。
公式サイト
Lotus 1-2-3(ロータスソフトウェア)
Lotus 1-2-3(ロータス ワン・ツー・スリー)は、ロータスソフトウェアが販売する表計算ソフトである。名称の「1-2-3」は、1.表計算機能、2.グラフ機能、3.データベース機能 の3つの機能を併せ持つことに由来する。
Lotus 1-2-3は、MS-DOS用表計算ソフトの代名詞的存在で、当時世界で最も売れたアプリケーションソフトウェアであった。しかし、OSがMicrosoft Windowsへ移行するに従い、早期にWindowsに対応したMicrosoft Excelの攻勢の前に劣勢に立たされ、x86プラットフォームにおけるシェアを失った。
2006年12月時点での最終バージョンは「release 9.8」(日本では「2001」)であり、その後バージョンアップは行われていない。当該製品はMicrosoft Windows Vista以降のWindowsに対応しておらず、IBMは公式サイトで今後も対応する予定がないことを明らかにしている。
現在の最新バージョンは「release 2001」である。
公式サイト
その他
マクロウイルス
マクロウイルスとはExcelに埋め込まれて実行される「マクロ」と呼ばれる簡易プログラムの仕組みを悪用したコンピュータウイルスのことである。
比較的簡単に作成できるため、現在もっとも一般的なウイルスとなっている。ウイルス構造の解析が簡単なため、興味本位で「改造」して再配布することも多く、「亜種」が発生しやすいという特徴も持つ。
Excelでの代表的なマクロウイルスとして、laroux(ラルー)があげられる。感染したExcelブックを開くと他のExcelブックに対してもウイルスコードをコピーして保存させると共に、スタートアップフォルダにウイルスコードを持ったPersonal.xlsというExcelブックを作成保存する。Personal.xlsはExcelの起動時に自動起動されるため、感染元のExcelブックがない状態でも次々と感染させていくことになる。Laroux自体には増殖の機能しかないものの、その後の数多くのExcelマクロウイルスの原種となった。マクロを使用した覚えのないファイルは「マクロを有効にする」をクリックしないことで対処できる。